こんにちは。
とても真面目な大矢根です。
僕はとても真面目なので、今日は仕事をぶん投げる話をしていこうと思います。
その質問はズルいよ
「大量の質問にラジオボタンをクリックしていくタイプのアンケート」ってよくありますよね。
人事部とかから回ってくるやつ。
そこでこんな質問を頻繁に見ませんか?
「自分の仕事は最後までやりとげたいと感じますか?」
これに「いいえ」って言えるわけなくない???
会社に向かって「拙者は仕事を途中でぶん投げるのが大好きでござる」
って答えるヤツがいると思ってるんですかね???
で、こんな感じの質問に「世間が評価する社会人像」と整合の取れる回答をしていくと、
「あなたは真面目な働き者です。精進していきましょう」
的な分析にたどり着きますよね。
「お前がそう言わせたんやろがい」と思いつつも、一年中空調の効いたオフィスでパソコンを睨んでいるうちに季節感を失調した会社員は「この手のアンケートが飛んでくる季節になったか~」と謎の納得をして日々の仕事に戻っていきます。
まあそれ自体はいいんですよ。
でもね、僕は「自分の仕事は最後までやりとげる心意気」=「ラストマンシップ」を優秀な社会人のリトマス紙にするのはかなり危険だと思うわけです。
人を壊す「妖怪・ラストマンシップ」
「与えられた、もしくは引き受けたタスクは、トラブルが起きても周りと協力して完了まで持っていくべき」は紛れもなく正論だと思います。
仕事は予想外の連続ですし、周りとの協力は必要不可欠です。
「やりきれない仕事なら最初から受けるな。引き受けた以上は完遂しろ」も正論です。
でも、これらの正論を評価基準に落とし込むとこうなります。
「たくさん仕事を引き受けて、最後までやりきった人が偉い。なんなら周りに迷惑をかけず、自力で何とかした人はもっと偉い」
ビジネスってそういうもんだと思いつつも、僕はこれって結構ヤバいと思います。
自分の評価が下がるとわかっていたら仕事を断れるわけないし、一度着手したらやり切れなかったなんて言えないわけです。
白旗を上げれば後ろから撃たれるとわかっていたら進むしかありません。
いつまで地獄とわかった道を進み続けるか?心が壊れるまでです。
「でも仕事で病むヤツはソイツが弱くて淘汰されただけじゃん」と思ったら、この記事はここで読了していただいてOKです。
もっと軟着陸を評価しようよ
僕は「仕事を最後までやり切れませんでした」にいくつかの形があっていいと思っています。
突然のバックレとかはさすがに評価の対象外として(そもそもバックレたら評価する必要がない)、真面目に取り組んで成果が出なかったとき、担当者を「失敗した」「劣っている」と評価すべきではないと思うんですよね。
今どきまともな正社員を一人採用するには膨大なお金がかかります。
退職者の穴を埋めるにもお金がかかります。
ともすれば、人を追い込む方向にばかりインセンティブを付けず、人をストレスから解放する方向にインセンティブを付けられないでしょうか。
たとえばこんな風に考えてみたらどうでしょう。
従業員Aさんの年商が3000万円だとします。
まともな上司なら「2000万円の案件のためにAさんを使い潰すべきではない」という判断はできますよね。
ある日Aさんが「この2000万円案件を続けていたら気が狂います」と言って白旗を上げたとしましょう。
そんなとき、以下の2通りの考え方ができると思います。
①2000万円の案件をとん挫させたから2000万円の損失
②2000万円の案件は逃すけど3000万稼ぐAさんが辞めずに済むから1000万円の得
僕は②の評価をしてくれる会社にはなんでも言えるし、上司は自分の味方だと確信できます。
「仕事を放棄するほど評価が上がる」という倒錯した制度の会社は潰れるのでバランスは必要です。
ですが、ラストマンシップのムチで人をシバき続けるよりも、「あなたが会社に残るための選択をしてくれてよかった」と言える会社の方が、コミュニケーションが活性化して結果的にたくさんの仕事を回せるんじゃないかなあと思っています。



